レストラン「風」

rikazo

2012年07月07日 13:12

勝沼取材旅、2日目のメインイベント?は、
前日訪れた勝沼醸造さん直営のレストラン「風」でのランチ



いつか行ってみたいとは思いつつ、
お高いんだろうなぁとか場違いだろうなぁとか思ってこれまでは訪れたことなし。
週末だと予約しないと入れないって聞いたこともあるし。

今回、取材という機会を与えていただかなければ、
おそらくあの至福の時間に、一生触れることはなかったかもしれません
取材という機会を与えてくださったことに感謝するほど、ホントに幸せな時間でした。

注文を聞かれないままに、お酒を飲めるかどうかを確認され、
ここからは運転を交代し、ライターである私がワインを飲ませていただくことに。
(Hさんもワイン、しかも勝沼醸造さんのワインが好きなのにごめんね)



食前酒としてだしていただいた泡、アルガブランカ ブリリャンテ。
(写真をとるために、のんびりしていたので、すでにお料理と次のワインも来ていますが。)

ちなみにアルガブランカシリーズというのは、
「世界に通用する日本のワイン造り」という
勝沼醸造さんの目指す世界観を体現した勝沼醸造さんのワインのトップブランド。

勝沼の地に1000年以上も根付いた日本古来の“甲州”というぶどうを使用し、
日本の風土にあったワイン、日本の食のシーンにあったワインとなっています。
いまでは、逆に欧州をはじめとする世界に向けても輸出され、
国際的なワインの賞を受賞し、ワインの本場に肩を並べて評価を受けているそう。

前日の試飲では、泡はなかったのですが。
適度な発泡感は胃袋を刺激、リンゴのようなさわやかな香りが、
この後の料理への期待感を高めてくれます。



前菜とともにいただいたのは、アルガブランカ クラレーザ。
あとから調べたら“限りなく透明なアルガの白”という意味の名前を冠してるそう。
先ほどの泡や、この後飲んだピッパと比べた時に、
“透明感”という言葉が頭に浮かんだので、調べてみて驚きました。

ひと口め、そのまま飲んだ時には雑味がない透明感あふれるワイン。
ところが…



前菜のサーモンとあわせたとたんに、ワインの印象が変化。
魚料理に合うスッキリとした辛口ながらも、口の中に広がる深みと香り。
ワインにボリューム感がプラスされました。

そして、その変化はお料理にも。
脂の乗ったサーモン独特の、口の中に粘りつくようなまったりとしたクセ感。
試しに泡に合わせてみると、生臭さが増してしまったように感じましたが、
このクラレーザをあわせたら、その生臭みが重厚感に変わり、
口中奥深くに、さわやかに流されていく感じがしました。



上野原の契約農家さんから届いたズッキーニを使ったコンソメスープ。
コチラのお野菜、レベルに達していないと判断されると農家さんが出荷しないとのこと。
ハーブサラダは、お野菜の入荷された時だけの希少なメニュー。
そのサラダが食べられないなら、予約しないってリピーターまでいるそうです。

ワインでほてり始めたほほや身体を、一度、ほっとさせてくれる優しいスープ。
でも、野菜の甘さがじんわりと伝わってくるような滋味深い味でした。

さぁ、次はお待ちかねのメインディッシュです。
ごろごろごろごろと大きなワゴンで、銀色のこれまた大きな器が運ばれてきました。
シェフ自ら、ふたをクルンと開けてくださると…お肉の塊が!!
(残念ながら、写真なし…最高のパフォーマンスに酔いしれていたのです)



サーロインとモモ肉の2種類のローストビーフを、目の前で切り分けてくださいます。
霜降りの脂の甘さを堪能できるサーロインと、肉汁ごと肉本来の旨みを味わえるモモ肉。
(左がサーロイン、右がモモ肉)
脂がのりすぎてしまうブランド牛では、
お店が目指す白ワインとの相性がよくないということで、
あえて、国産の適度な脂乗りの和牛を、その都度、一番良いものを使うんだそうです。



そう、お肉なのにオススメするワインは、白。
アルガブランドの中でも、重厚感があるアルガブランカピッパ。

白隠正宗さんや高砂さんのガツンとパンチがありながら、
それでいてふくよかな旨みを感じる日本酒と、
磯自慢さんや初亀さんの、上品でスッキリとしながらコクがある日本酒。
この2つの日本酒を、1つに合わせたようなワイン。

ワインを表現するのに日本酒を引き合いに出すのって、
まるで優劣つけてるように感じられたらごめんなさい。
ただ、私は日本酒が好きなので、これは褒め言葉ととってほしいのですが。


でも、だからこそ、お醤油、わさびとの相性がいいんでしょうか。

お店でも、あえて白ワインをオススメするとともに、
ローストビーフをたっぷりのわさびとお醤油で食することを提案しています。
少し甘みのあるお醤油に、上質のわさび(辛過ぎず、甘みも感じる最高級品)、
塩梅良く脂が乗って、表面だけがこうばしい焼き色のついたサーロインは、
その口どけ、味わいは、まるで大トロの炙りのよう。

そりゃ、白ワインだろう!(笑)

そのままいただいても、果実香と樽香がふうわりと口中に広がります。
ローストビーフをいただいてから飲むと、香りが一層深まります。
口中に残る牛肉の脂の甘みが、より一層ふくよかに余韻になって、
いつまでもいつまでも幸福感を醸します。
ひと口目より二口目、二口目よりも三口目と、その幸福感に厚みが増していくのです。

ちなみにクラレーザも2口ほど残しておいたので、合わせてみたけど…
クラレーザだと軽過ぎて、お肉の重みに負けてしまう気がしました。
口の中での化学反応も、あっさりとした感じ。
やはり、ピッパをオススメする理由がちゃんとありますね。

ワインとお料理との相性を、マリアージュと言うけれど、
あぁ、これがマリアージュなのだなぁと、しみじみ感じました。

良い相性の結婚であれば、
その出会いの幸福感は変化を伴いながらもいつまでも続くのですねー。
(結婚に失敗してるわけじゃないけど)

最後のひと口を、こんなに愛おしく思えるお料理に出会えた奇跡
ワタシ、あまりに幸せでずーっと笑っていました。
そして、いまも、思いだしてずーっと笑っています(笑)。



え~っと…空っぽになっちゃいましたが(笑)。
パンも2種類サービスしてくれたのですけど、美味しかったなぁ。
そして、このパンをいれてあった容器は、有田焼。
アルガブランカのエチケット(ワインのラベル)と同じデザイン。
こういうちょっとしたこだわりが、すべての幸福感につながっていくのですね。



そして、最後はデザート、合わせるワインはアルガブランカ ドース。
蜂蜜のような甘さとしっかりした酸味があるおかげでキレがいい。
フルーツとの相性はもちろん、チョコレートにもあいます。
レアチーズケーキがどっしりとしていながら、酸味がしっかりあるので、
お腹がいっぱいでも、最後まで食べきってしまいました。

コーヒーでワインの余韻を流してしまうのがもったいないかな、と思ったら。
幸福感はちゃんと、心に刻まれていました。

あぁ、この感動を、この幸福感を、
限られた紙面でどこまでお伝えすることができるのでしょう。
いまになって、こうして振り返ってみると、
めちゃめちゃプレッシャーになってきました…おそっ(笑)。

私がいただいたコースは、注文しないままに出てきたのですが、
前日にお話を伺った勝沼醸造のA社長が、すでにご注文くださっていたとのこと。

勝沼醸造さんのワイナリーツアーの中に、オーナーコースというのがあるのですが、
そちらはA社長自らがワインナリーをご案内くださるそう。
そのコースの最後に、オーナーと一緒にいただく料理とワインのメニューだそうです。

お料理(もちろん前菜やスープ、デザートはその時で変わります)とワイン4種類。

もちろん、ワイナリーツアー以外のお客様もお料理は楽しめます。
ランチは4,000円、ディナーは5,000円のデミセットにあたるのかな。

ワインは別料金になりますが、実は1杯が800円程度するので、
私が飲んだ4種類で3,000円以上になってしまうのです。
(量もかなり飲んだことになりますね)

だからもっと気楽にワインを楽しんでいただきたいと、
オススメのワインをハーフサイズでセットで楽しんでもらえるサービスもしていらっしゃる。
そちらだと、幻のワインと呼ばれるアルガブランカ イセハラも加えた5種類の中から、
3種類選ぶと1,000円、4種類で1,500円、5種類すべてで2,000円とかなりお手頃。

お料理に合わせて出してもらうこともできるし、すべてを並べて比べて飲むこともできるそう。
そして、お肉料理には赤ワインが好き!というお客様には、ちゃんと赤ワインもご用意。
その場合には、わさびをホースラディッシュに変える等、対応されてるそう。

レストラン側の考えを押し付けない、柔軟さも、とても素晴らしい。
ハーフサイズのセットもそうだけど、
お客様が喜んでくれることが一番だとお考えになっていることがひしひし伝わってきます。

なんていうのかなぁ、雰囲気もサービスも一流なんだけど、根底に心のあったかさを感じます。
あぁ、でもそれが本当の一流のサービスですもんね

今回は取材でしたが、ぜひまた何度も何度も、
誰かと一緒に行きたいステキな時間でした。

素晴らしい出会い、素晴らしいひと時をありがとうございました。

本日の満点度:☆☆☆☆☆/5

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