夜彩の夕べ~2013・冬~

rikazo

2013年02月27日 11:32

速報でもご報告させていただきましたが、
月曜の夜はチーム・クマグスとビオファームまつき畑チームとの
コラボイベント「夜彩の夕べ」でした~



こんなに寒くても、春はもうそこまで来てるんだ!
そんな気づきをもらえる、彩り豊かなお料理の数々。
春の予感に心が浮き立つような時間を過ごさせてもらいました

3年前の夏に始まったこのコラボイベント。
「僕たちの作る野菜はお店でどんな料理になって、
どんな風にお客さんが食べてくれているんですか?」

ある畑スタッフがそんな疑問を
クマグスリーダーの「うず」吉村親方に話したことがきっかけでした。

使う食材がどんな環境でどんな生産者さんによって作られているかを
料理人が理解することも大事だと、それまでも畑の見学はもちろん、
畑仕事を手伝いに行ったりしていたクマグスメンバー。

でも、逆に生産者さんが、お店で出された料理を見たり食べたりすること、
お客さんと直接触れ合って、お野菜の説明をしたり、
お料理を食べている様子を生で見たり、感想を直接聞いたり、
そういう機会が必要なんじゃないか・・・。

その想いが、「夜彩の夕べ」というカタチになりました。



このイベントは、毎回、野菜のお土産付き。
お店で味わうだけじゃなく、お家でも美味しい野菜を味わってほしいから。
でも、どんな風にお料理すればいいかわからない人もいるだろうと、
親方衆4人の特別レシピもつけています。

ただ食べるだけでなく、収穫の喜びも分かち合いたいと、イベントは二章仕立て。
今回のイベントでは、先に収穫体験を開催。
表紙には、その時の写真を使用させてもらいました。
(本当は私も参加し、写真撮影するはずが・・・インフルエンザで撃沈中)



各テーブルには、畑スタッフが用意してくれたのかな?
収穫体験の時の写真も、まとめてくれてありました。

今回は、こどもたちの参加が多くて、
畑チームが目指していた自分で土の中から野菜を掘り出したり、
葉っぱを摘んだりする楽しさをこどもたちに伝えたいって想いが実現してきてるって。
畑スタッフ、農場長でもあるWクンが嬉しそうに話してくれました。

私、今回は仕事終わりで駆け付けたので準備風景の写真が撮れず。
会場入りした時には、すでに、たくさんのお客様。
みなさんワクワクしながら、乾杯の時を待っておりました。



テーブルの上には、土の香りがしてきそうなひと皿。
収穫体験でも、お土産になった(もちろん自分たちで収穫)という人参とほうれん草。
「生のままかじってみてください」と畑スタッフのAさん。

人参はこれまでも何度かかじってるから甘いのは承知していますが、
ほうれん草の、濃厚な甘さ、特に根っこに近い部分の甘いこと
葉っぱもふんわりと厚みがあって、独特の歯ごたえ。
噛めば噛むほどに甘みがじんわりと口の中に広がります。



乾杯のお酒は、2月23日=富士山の日の朝に搾った白隠正宗。
お野菜もだけど、これまた富士山の恵みあふれる縁起のいいお酒。
既に23日に呑ませてもらったけど、今年の出来はすごくいい!
フレッシュさは独特のものですが、飲み口が良いのでクイクイいけちゃいます。

さぁ、お料理です。

クマグスのイベントで、私が一番楽しみにしている前菜。
主菜は、たいてい親方たちがひと品ずつ勝負かけてきますが(笑)、
あ、もちろん、全体のバランスを考えて、
足したり引いたり、譲ったり主張したり葉、してくれてると思うけど。

特に前菜は、ひと皿のハーモニーを求め、
2人の親方衆が試行錯誤してくれてるのが伝わってくるんです。

今回の前菜は、2皿仕立てでした。



こちらのお皿は・・・
冬野菜の低温蒸しなめろう(飛騨高山三年熟成粒味噌)
 ~うず~

菜花とほうぼうの昆布締め
 ~成生~


お野菜でなめろうを、という発想は、なんともうずさんぽく、凄いと思う。
野菜の美味しさを活かすのが抜群にうまいことは、これまでも分かっていたんだけど、
最近の親方は調理法であるとか、調理スタイルとかに
革新的なスパイスを加えてらっしゃいます。

正直に言うと・・・
それがうまくハマッていないかなぁと思う時もたまにあったけど(失礼)、
今回は、知り尽くしているし一番愛情が深い野菜だけに、見事ですね。
メニューの斬新さと味わいの安心感、見た目の美しさ、
すべてにおいて調和がとれていました。

サイコロ状に切られたそれぞれの野菜の歯ごたえがまた絶妙でしたね。
ゴリゴリ、カリっ、サクッ、クシュッ・・・次はなんだろうって食べるのが楽しい。

もうひと品の成生さんの昆布締め。
一見フツーに見えるお料理なんだけど、これがまた素晴らしい。
このイベントで、実は毎回唸らされているのが成生さんのお魚料理です。
火加減だったり、酢の塩梅だったり、昆布締めの具合が実に見事。

魚の扱いが日本一うまい天ぷら屋さんだと思います。
(ま、比べるほど高級天ぷら店に行ったことないですけど)



前菜のふた皿めは、醸し人さんと華音さん。
はぁ~、目にも美しい絵になるひと皿。

彩り蒸し焼き野菜のアンチョビ掛け 
~醸し人~

パープルスイートロードのブルーチーズ和え 
~華音~


玉ねぎを焼きつめて作ったというアンチョビソースが美味しかった。
アンチョビの風味よりも、焦がし玉ねぎの旨みと苦みが、
お野菜の甘さをひきたててくれています。

醸し人さんの蒸し焼き野菜も手法にこだわりを感じますね。
常に進化と変化を自分に課している料理人さんだと思います。
(ま、クマグスメンバーはみんな探究心や向上心がスゴイんだけど。)

それになんといっても、この色彩感覚の素晴らしさ。
もうすぐ春が来るんだなって、キモチが湧き立つような彩り。

華音さんのお料理のパープルスイートロードは、紫芋の一種。
一見、王道とも思える紫芋のサラダだけど、ブルーチーズにクリームチーズをあわせてる。
ブルーチーズのクセはそれほど気にならないから食べやすいんだけど
でも、鼻から抜ける香りが、お酒を進ませます。

この時には、既に独楽蔵(福岡)の9号タンク仕込みのお酒をもらっていましたが
こっくりとした濃い味の独楽蔵に、紫芋のサラダが負けないってのが凄い。

このあとのお料理の量やバランスがどうなのかにもよりますが。
前菜に関してはボリューム感もそこそこありつつも、
野菜が中心なので、こってり感はないから良い感じにスタートできた印象。


さぁ、お酒もすすみ始めたところで、メインのお料理も始まります。
ここからは、親方衆がひとりずつその技を競います。
全員が全力投球し過ぎて、ボリュームあり過ぎって時もありましたが
さて、今回は、コース料理としてのバランスはどうだったでしょうか?



鰆と根菜の炊き合わせ 吸い物仕立て 
~成生~


先鋒(!?、笑)は、成生さんでした。

速報にも書いたんだけど、これ、インフルエンザで寝込んでた時に食べたかった。
優しくて、上品な美味しさがじんわりと身体に沁み込んでいきました。
独楽蔵が濃いめのお酒なので、このお料理でちょっと小休止できたのもイイ。



紅芯大根もち・ヤーコンもちの削りスルメ乗せ 
~うず~


あぁ、なんて可愛らしく、心浮き立つひと皿なんでしょう。
桃の節句のひし餅をイメージしてのひと品だったのかしら。
お餅のねっとりもっちりした食感と、炙りネギのシャキシャキ感。
それぞれお餅の中にも角切りのお野菜が入っているから、食感も楽しめる。
目にも舌にも、心にもウレシイお料理です。



地鶏団子射込み里芋饅頭 みぞれ餡掛け 
~醸し人~


こちらも、本当に美しいお皿。
親方の優しさと芸術的なセンスの良さが伝わってきます。
みぞれ餡掛けにする予定を、紫大根が美しかったので、上にちょこんと乗せたのもイイ。
この色合いは、みぞれ餡にしたらもったいなかったと思います。
里芋饅頭のねっとりとした美味しさはもちろんだけど、地鶏団子もジューシー。
サムゲタン風のおだしのコク深さと里芋饅頭、地鶏団子が
混然一体となった時のバランスの良いこと~。

色合いはもちろんだけど、春ってパワーが満ちてくる季節。
春はもうそこまで来てるんだねって、しみじみと思わせてもらえるお料理でした。



大浦牛蒡と和牛ハラミのブラックビーンズ炒め 
~華音~


まつきさんのお野菜で、冬場に欠かせないのは、この大浦牛蒡。
先日の収穫体験でも、もちろん収穫の目玉だったそう。
どんなお料理で出てくるのかなぁと思っていたら、満を持して中華風で。

和牛ハラミのとろけるような食感と、
大地を噛みしめてるかのような牛蒡の食感が、また面白い。
ハラミから出る旨みを吸ってもなお、土の香りを感じさせる
大浦ごぼうの力強さも堪能できるひと皿でした。

お酒は、白隠正宗の純米一年熟成。
燗酒が、この中華の濃い味にあうんですよ、これがまた。
独楽蔵の14号タンク仕込みと合わせても美味しかったな。



おしながきになかったごはんものも登場しました。
彩り冬野菜とほうぼうのちらしずし、とでも名づけましょうか。

こちらもおひなさまを意識されてのチラシ寿司だったのでしょうか。
女性のお客様が多かったですから、ウレシイ節句のお祝いですね~。

目にもウレシイ彩りの豊かさだし、食感を活かしたお野菜が素晴らしい。
こういうチラシ寿司もありなんだ!とウレシイ発見です。
お寿司の中に入っていたほうぼうが、また良い仕事してたなぁ。



おもてなし係のHさん、女将さんが各テーブルごとに、
目の前で盛り付けてくださる演出も、特別感があってありがたいですね。

根菜類をいっぱい噛んで食べたせいか、私はお腹いっぱいで無理でしたが
健啖家のお客様が多く、みなさん、おかわりをしてらっしゃいました。

お腹がこんなにいっぱいでも、デザートは別バラ。



人参のシフォンケーキ ヨーグルトと人参のムース 
~醸し人~
人参ジュース 
~ビオファームまつき~


〆のデザートまでお野菜でした。
醸し人の親方の作るデザートは、毎回楽しみなんだけど、
お腹がいっぱいで食べられないことが多いのですが、
今回のシフォンケーキは食べ口が軽く、
さらにヨーグルトをきかせたソースのサッパリ感が口直しになってペロリ。

まつきさんちの人参ジュースに関しては、コメントする必要もない(笑)。
これが人参なのか!?と思うほどに、甘く、人参独特のクセも全くないです。
大地の恵みを感じさせてくれる1杯でした。

これまで2回は、夏野菜を使っての開催だったので、冬は初めて。
でも、冬野菜の美味しさ、特に2月の一番寒い時期に、
寒さを耐えることで甘みや旨みを凝縮させている野菜を感じて欲しいですって
このイベントが始まった当初からWクンは話していました。

その願い、ようやく実現したけれど、伝わったね―。
お客様、みんな笑顔だったし、楽しそうだった。
畑スタッフがテーブルに座って一緒にお料理を楽しんだのも、大正解。
(前回もそうすればいいのにって思ってたんだけど、言えずじまいだったのでホッ。)
やっぱり、同じ釜の飯を食うってのとは少し違うけど、
一緒に食べたり飲んだりすることで、グッと距離が近くなりますからね。

お料理や食材の紹介の仕方とか、
もっともっと改善することができるかもしれないけど。
でも、やっぱり笑顔にあふれていたのが今回も素晴らしかったです。

お料理のバランスも、親方衆がその腕を切磋琢磨し刺激し合いながらも、
ちゃんと足すことは足してたし、引くとこは引いて、ハーモニーがとれてました。
お料理同士、お酒同士の掛け算の良さもしっかりと活かされていましたし。

もしひとつあげるなら、ちょっと独楽蔵だと、お酒が主張し過ぎていたかな。
お野菜にコクと力があるから、なんとかなっていたけど。
超お酒のみじゃない人には、今回のお酒のセレクトは、きつすぎたかも。
(親方衆はみんなお酒が強いからなぁ、笑。)

相当長くなってきたので、お土産野菜はまた別の機会にご紹介します。

本当に、話し始めたら(書き始めたら)止まらないくらい、
たくさんの刺激と幸せをいただけた時間でした。
親方衆や、畑スタッフの想いもしかと受け止められた時間だったと思う。

そして、同じテーブルはもちろん、あちこちのテーブルの方々とも、
幸せな笑顔を共有できたこともありがたかったです。

今回も美味しく楽しく、幸せな時間を、ありがとうございました

本日の満点度:☆☆☆☆☆/5

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