私が選んだ1冊は、山本一力さんの『深川駕篭』。
時代小説縛りがある私としては、当時の乗り物といえば、駕篭か船くらいしかない

だから最初に浮かんだのが、この1冊でした。
乗り物というよりも、その担ぎ手である2人の若者を中心とした物語。
粋でいなせな江戸の若者が成長していく青春ストーリーでもあるし、
いまでいうイベントプロモーションみたいな話も出てきて、
わくわくドキドキ、ハラハラしながら楽しめます。
山本一力さんの小説は、一代記みたいなものだと、
時代背景を説明する部分が長々書かれていたりして、ちょっとまどろっこしいなと思うのですが、
『深川駕篭』に関しては、エンタメ性が強いので、読みやすいほうだと思います。
今回、私も初めてレジメを用意。
駕篭って一口にいっても、この主人公たちが担ぐ町駕篭もあれば、
その街籠の中にも、木戸付近で客待ちする木戸駕篭、辻で待つ辻駕籠、
駕籠屋で待機して予約を待つような駕籠屋もいるんです。
現代のタクシーみたいですよね。
また町民の中でも身分の高い人が乗る宝仙時駕篭なんてのもあったり、
旅先ではたれが付いていない山駕篭、宿駕篭なんてものがあったり。
駕篭と同じ1本の棒で支えているものでありながら、
身分の高い武士が乗るモノ(乗り物とよぶ)は、漆塗りで金銀で装飾が施してあったり、
女乗り物といって、そういう装飾がされてるものでも女性用のものがあったり…。
一目見ただけで、どんな身分の人が乗ってるかが大体把握できるわけですね。
あとは鬼平犯科帳などに出てくるの唐丸駕篭。
これは囚人護送用の駕篭。
時代小説には、さらりと駕篭の名前が出てくることがあるのですが、
その駕篭の映像が頭の中に浮かぶのと浮かばないのでは、小説の見え方も違うと思うんです。
今回、私は『守貞謾稿』という江戸時代に書かれた書物を参考にしましたが、
これがまたおもしろかったんです。
この話はまたあらためて。(笑)
ちなみに今回、ほかのお二人が選んだ本は…
Yさん(30代女性):『女流阿房列車』酒井順子著
Uさん(50代男性)」『宇宙船とカヌー』ケネス・ブラウワー著
電車、船、駕篭…見事に乗り物もバラバラでしたね。
酒井順子さんの本は、これまであまり好きではなかったのですが、
Yさんが電車について(スイッチバッグについて、笑)熱く語る姿を見ていたら、
これは読んでみたいなぁと思いました。
Uさんの『宇宙船とカヌー』は、
宇宙物理学者のフリーマン・ダイソンと
その息子さんでカヌー・ビルダーのジョージ・ダイソンのお話。
その本から発展して建築家・藤森照信氏の建築物まで話が及ぶなど、
とにかく、興味深くて深いオハナシでありました。
やっぱりUさんの引き出しの多さ、深さには、毎回、驚かされます。
ま、これが「本読みの会」の醍醐味なのでありますが(笑)。
次回のテーマは、「山」になりそう。
Yさんが途中、体調が悪くなってテーマを決める前にお帰りになられまして…
決定には至らずでした。
雨にぬれちゃったし、そのあと冷房きいてたし、冷えちゃったのかな。
今日はもうご快復されていますように。
次回、またお元気な姿で会えますように
う~ん、山かぁ。
ぱっと思い浮かばない…時代小説で山の話。
ま、こうして悩む時間ももまた楽しいんですけどね。
Uさん、Yさん、昨日は本当にありがとうございました。
次の会も楽しみにしています
本日の満点度:☆☆☆☆☆/5